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「職質中に走って逃げる」が犯罪? 無理ゲーと化した警察の職質への対処法

最初に断っておきますが、警察には何の恨みもありません。その上で弁護士の立場で感じたことを書かせていただきます。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

この件について警察は、「逃げた男性を追って捜査員やパトカーも出動した」ということが「警察の正常な業務を妨害した」という判断をしたようです。もちろん、最初から白い粉を用意したyoutuberの行動が一般常識から逸脱して悪質なのは分かります。つまようじの件とか、過去にもいろいろあったので、警察がこういう対応を取るのも理解できなくはないです。

 

しかし、仮に本件が「警察の職質から走って逃げる」こと自体が業務妨害に該当する、というように定式化されてしまうと、非常に困った問題が生じてきます。

 

それは、もともと運用に問題のあった職務質問と所持品検査が、ますます無理ゲー化してしまう、という問題です。

 

まずは問題点を理解してもらうために職質のフローチャートを見てください。

 

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職務質問について

東京で道を歩いていると、たまに警察に職質されます。

このとき、当たり前のように「カバンを開けて見せてよ」とか言われるのですが、令状がないのに所持品検査を強制するのは違法です。

(あくまでも任意で見せているから合法、という扱い)

 

嫌だったら拒否できるはずですが、所持品検査を拒んでいると「何か違法な物を持っているのではないか→怪しい」という風に解釈されるため、見せるまで立ち去ることができません。

 

立ち去ろうとすると、警察官は立ちはだかってきます。状況にもよりますが、警察官を押しのけたり威嚇したりすると、公務執行妨害で逮捕されます。

 

じゃあ、っていうことで触らないように走って逃げると、業務妨害ということになってしまう、というのが今回の件です。このyoutuberは動画を投稿したから特殊なケースだ、と思われるかも知れませんが、本件は動画の投稿は関係なく、逃げたことによってパトカーの出動などがあったことが正当な業務を妨害したとされています。怪しい人間が逃げたら普通応援要請しますよね。そうすると適用される事例はものすごく広がってしまうのではないかと考えられます。

 

それなら、最初から職質を無視して立ちされば良いのではないか、と思われるかもしれません。しかし、警察を無視して逃げたこと自体が怪しい、ということでやはりアウトになってしまいます。

 

www.step-law.jp

  

職質と所持品検査はセットです。こういう運用になってくると、警察に目をつけられたら所持品検査を拒みようがなくなってきます。

 

何もやましいところがなければ所持品検査に応じればいいじゃないか、と思われるかも知れません。しかし、それって、結局のところ強制的に所持品検査を実施しているのと変わらなくないですか?

 

強制的に所持品検査をすべき立法事実があるのなら、そのような法律を作るべきです。しかし、それをせずに、運用で強制的な所持品検査を認めている状況にあるのではないか、という懸念があるということです。

 

所持品検査に応じた上で、精神的苦痛を国家賠償請求する、という方法もありますが。。。現在の運用だと、所持品検査を拒むのはよほどのテクニックがないと難しい状況ですね。

www.bengo4.com

rocketnews24.com

 

自分だったらどうするか

まず、いきなりあきらめて所持品検査に応じるのではなく、毅然と断ります。

神戸地裁の裁判例では「承諾をしなかった男性に、警察官が再三の『説得』をしたことが違法だったと判断された」ということなので、執拗な説得自体が違法な職務執行と判断される可能性があるからです。

 

断ってもしつこい場合は、「執拗な説得は違法という裁判例がありますよ」と言って、立ち去るしかないと思います。その際、逃げたり押しのけたりということは絶対にしないようにします。また、違法性が強いと判断した場合はやり取りを録音・録画します。

 

それでもどうしても解放されない、しかも時間もない、ということであれば、不本意ですが所持品検査に応じるしかないと思います。すべての警察官が正しい運用に従って行動しているとは限りませんから、ある意味仕方のないことです。

 

注意しなければいけないのは、いくら違法だと思っても、暴れたり走って逃げたりはしない方がよいということです。また、横暴な警察の姿、などと言って動画を公開するのもやめた方がいいと思います。違法なやり取りがどうしても許せないのであれば、証拠をきちんと残した上で国家賠償請求をするというのが正しいやり方だと思います。