情報が出揃ってきたので、コインチェックとNEMの件についてまとめます

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coincheckが顧客からの預かり仮想通貨(NEM)を流出させてから1週間ちょっと経過しましたが、その間、過度にcoincheck社をバッシングしたり、逆に持ち上げるような取り上げ方をしたり、という流れのようなものがありました。

その後、金融庁の立ち入り検査、被害者の会結成と色々な動きが週末にありました。

本日付けの記事で、金融庁によるcoincheck社の資産検証について触れられておりましたが、同社としてはその終了を待たないと動きが取れないというエクスキューズができた格好ともなりました。

改めてここまでに出てきた情報等について俯瞰してみたいと思います。

coincheck社の財務状況について

この点については、500~600億円くらいは十分払えるくらい儲かっているはず(=事情も知らずに騒いでいるのはアホ)というような論調もありましがが、売り上げが上がっているのと流動性の高い資金を手元に持っているかというのはまた別の話です。

逆に、数百億レベルの資金を使いもせずに普通預金に入れておくというのは経営としてどうなの、ということにもなってきます。

上場企業ではないのですから、財務状況については社外秘にするのは当然で、明確な答えがないから財務状況が悪いとも言えませんし、逆に、売り上げが立っているから手元資金も潤沢とも断言できないところではあるのかなと。

coincheck社は顧客の仮想通貨を実際に持っていないのではないか疑惑について

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おそらくここに書かれている指摘はその通りで、ビットコインはともかくアルトコインについては実際の買い付けをするまでかなりタイムラグはあったと思います。

つまり、例えばLitecoinを売り出します、というアナウンスをし、実際に顧客から一定量のLitecoinの注文があったとしても、直ちに現物の買い付けをしない、ということもあったということです。

ただ、法施行後においても、残高の不足については5 営業日以内に解消すればよいとされているので、ある程度のタイムラグは合法であるという事情もあります。

例えば、今日100LTCの買い付けがあったとしても、帳簿上の補充は5営業日以内にすればよいわけで、その後に別の顧客からLTCの売りがあった場合にはその分買い付け義務は減少するという理解になります。

山本氏も上記記事内で指摘しているように、金商業者であれば適切なカバー取引を実施してリスクを許容値内に収める(FXで言うA-book、B-book方式)ということがコンプライアンス上必要になってくるわけで、会社として体力があれば顧客の取引を呑んでしまう(それにより利益を上げる)ということも一応自由ということにはなっています。

ただ、少なくとも昨年4月以降は3か月に一度の資産状況報告はみなし業者であっても行っていたはずで、顧客からの預かり仮想通貨の残高と分別管理の残高にそう大きな乖離はないのではないか、とは思っています。

(ハッキングはともかく、分別管理義務の懈怠も見抜けなかったのであればさすがに金融庁の責任問題にもなってきます)

残る問題点

とはいえ、実際に預けていた仮想通貨が戻ってくるとしても、それが実現されるまでに何か月もかかってしまうということになれば、価格下落や、事実上納税ができないことによって発生してしまう損害をどうするのか、という問題も出てきます。

また、出金再開が遅れれば事実上の取り付け騒ぎのようなことにもなってくるでしょう。

私個人としては、弁護団的なものを現時点で結成するメリットはそれほど大きくないと思っているので、相談があったものについて仮差で対応したりということで対応していこうと思っていますが、実際約款を見てみると効力を争えそうな文言もちらほらあったりして、こういう部分では他所の先生から情報収集をしたりして対応を検討してもいいのではないのかなとも思っております。

会社としてはカバー先やら取引先やら色々あるはずなので、保全手続きで対応できる部分も多いのではないかなとも思っております。